研究概要 |
口唇裂口蓋裂に対する形成手術が顎顔面頭蓋の成長に及ぼす影響については,従来より諸説があり,そのいずれも理論的に説明はされているが,必ずしも十分満足すべき科学的根拠が提示されているとはいえない.一診療施設で全ての方法についてのデータの処理及び評価についても少数研究者の偏見を避けるため,グループによるアプローチが提唱され一部に実施されている.そこで,本研究では,顎発育を研究するために,1)必要資料の検討,2)資料採得時期の検討,3)評価法の検討,を軸に調査を開始する前段階として,本学所属の患者について,検討を行い,研究の実施準備を行う事を目的とした. 昭和大学病院形成外科,歯科病院矯正科所蔵の口唇裂口蓋裂患者約1,900名を基本資料とし,無作為に抽出された年齢別の30症例を用い,前年に引き続き資料の種類,採得の時期,顎発育の評価法の検討を行った. (1)資料の種類;セファログラム,口腔内平行模型,オルソパントモグラフィー,前腕骨のレントゲン写真,身長,体重 (2)採得の時期;4歳より10歳までの資料 (3)手術時期,術式,術者;口唇形成術,口蓋形成術 (4)評価法;種々の評価法の中から,Huddart法,Goslon法,昭和大法を検討した所,どの方法でも顎発育を評価する事の有用性を認めた.
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