研究概要 |
本研究はコレステロールおよびエルゴステロール生合成中間体の中からステロール生合成阻害作用のあるものを見出し、ひいては抗動脈硬化薬および抗真菌薬の開発につなげようとするものである。これらのステロール生合成中間体を薬理活性テストに供するのに十分な量を得るためには、これらの効率的化学的合成法を確立する必要がある。本年度はこの当面の目的を達成するため市販のコレン酸、エルゴステロールおよび5,7-コレスタジエン-3β-オールを出発原料として数種をステロール生合成中間体を合成するルートを検討した。その結果コレン酸より、8,24-コレスタジエン-3β-オール(チモステロール)およびその7,24-ジエン同族体を合成できた。またエルゴステロールから14α-メチル-チモステロールおよびその24-メチレン体(14α-メチルフェコステール)を合成した。一方5,7-コレスタジエン-3β-オールからは8-コレステン-3β-オールや4,4-ジメチル-8,14-コレスタジエン-3β-オールおよび一連の32-酸素化ステロール類を合成するルートが開拓された。さらに15-ふっ素化ステロール類を合成するために一連の15α-および15β-水酸化ステロール類、例えばコレスター3β,15β-ジオール、4,4,14α-トリメチル-7-コレステン-3β,15β-ジオールなどを合成し、その適当な誘導体をふっ素化試薬であるジエチルアミノ三ふっ化硫黄と反応させた。その結果いくつかの15-ふっ素化ステロール類を得たほか、興味ある転位反応も見出した。
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