研究概要 |
1.微生物由来の新規生物活性物質の探索研究 微生物第2次代謝産物由来の新規骨格を有する生物活性物質の探索を目的とし、真正細菌600株、糸状菌320株を分離した。真正細菌の培養液中からは緑膿菌などに対し特異な抗菌スペクトルを示す脂溶性物質に絞り株を選択した。一方、糸状菌についても脂溶性物質であること抗菌活性を示さずシリカゲルTLC上にて特長的なUV吸収を示す物質について探索(ケミカルスクリーニング)を行い、ATF-13、ATF-14、ATF-157の3株を選択した。これらについて培養を行い、目的物質の単離精製を行い、ATF-13及び-14を夫々黄色ならびに淡緑色結晶性物質として単離した。現在、NMR、Mass測定による新規性を検討中である。新規物質の場合には大量培養を行い、試料を取得し種々の生物活性を調べる予定である。 2.ラクタシスチンの生合成研究 放線菌の生産する神経突起伸長作用物質ラクタシスチンについて各種^<13>C標識化合物とNMRを用い、骨格炭素の生合成由来を調べた。〔2-^<13>C〕L-ロイシン、〔1-^<13>C〕イソ酪酸、〔1-^<13>C〕プロピオン酸、L,L-〔1,1′-^<13>C_2〕シスチンの取り込み実験の結果、L-ロイシン(C-4,5,9,10,11,12)とイソ酪酸(C-6,7,8,13)が縮合したC_<10>ユニットとN-アセチル-L-システイン(C-1,2,3)から生合成されることを明らかにした(第113年会日本薬学会発表)。現在、C-11,C-12の両メチル基の生合成経路の立体化学もあわせて検討中である。
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