研究概要 |
生体内ビタミンD代謝産物の測定は骨粗そう症など,高齢化時代を向かえて深刻化する社会問題の解決上もきわめて重要である.しかし,これらの測定は生体内における存在量がきわめて少ない上に,化合物が不安定であり,他の妨害物質の影響を受け易い等,多くの問題点を有している.本研究はこれらの点を踏まえて,新しい発想法に基づく前処理,immunoassay,HPLCにより多角的に問題の解決にあたらんとして行ったものである.今年度は平成4年度の実績を基に,以下のような成果をあげた. 1.開発したHPLC用蛍光誘導体化剤を用いてビタミンD代謝産物,特に抱合体に対する反応性,検出限界,誘導体の安定性などを詳細に吟味し,その有用性を明らかとした.さらに,得られた知見を基に,実試料へ適用し,良好な結果を得た. 2.ステロイドの11位を結合部位とする蛋白結合体をウサギに免疫し活性型ビタミンD_3に特異的な抗体を得ることに成功した.得られた抗体を用いて各種immunoassay(radioimmunoassay,enzyme immunoassay)の確立を検討中である. 3.従来の前処理は多くの前処理器材を駆使した煩雑なもので,しかも十分な効果が得られていない.そこで,先に得られた抗体を用いたimmunoaffinity chromatographyによるそれを検討し,良好な結果を得た. 以上のようにして開発した分析法を実試料へ適用し,臨床診断,病態解析上のデータを蓄積中である.
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