1.前年度において同位体分離がキャピラリーGCにより可能であることが確認されたイソプロピルアンチピリン(IPA)、フェンタニル(FT)およびアミノピリン(AM)について、ラットあるはウサギにおける経口あるは静脈内投与後の血中濃度を最もよい分離を示した多重重水素標識体(IPA-d_9、FT-d_<19>、AM-d_9)を用いた希釈分析により検討した。その結果、【.encircled1.】血中濃度の再現性は極めてよい、【.encircled2.】広範囲の濃度で直線性に優れる、【.encircled3.】特異検出(SID)による場合は高感度検出が可能で0.1ng/mlでの定量、あるいは抽出液を直接注入による定量が可能であることを認めた。さらにAMについては本方法によるクリアランスを指標とした肝機能の評価への応用を実施し報告した。またFTについてはFTの投与を受けた患者における血清濃度の測定を実施し、臨床条件における動態を解析するのに必要な高感度測定ができることが認められた。本結果の一部は薬学会年会にて報告予定であり、また現在投稿準備中である。 2.IPAおよびFTについて重水素標識体(IPA-d_9、FT-d_<19>)との等モル混合物をラットに経口投与し投与後の尿中および血液中の代謝物の検索をツインピークを指標に試みた。その結果、【.encircled1.】主代謝物(IPAのN脱メチル体、FTの脱フェネチル体)は尿抽出物より明瞭なツインピークとして検出される、【.encircled2.】特異的検出(FTD)によればIPAの主代謝物も血液抽出物よりツインピークとして検出可能である、【.encircled3.】代謝による重水素の脱離が著しい場合は分離が悪くツインピークとして判定できない、【.encircled4.】マイナーな代謝物については尿あるいは血液成分の妨害により明確には検出されない。ツインピークを指標とする代謝物の検索には上記のように一部問題点があり、今後さらに検討の必要があると考える。
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