1)第V因子活性に及ぼすリン脂質の構造活性相関 血液凝固第V因子はそのアミノ酸配列およびドメイン構造がきわめて第VIII因子と類似しており、またその活性化にホスファチジルセリンを必要とすることが知られている。そこで、第V因子活性化に要求されるリン脂質の構造活性相関を解析したところ、第VIII因子の場合と同様にホスファチジルセリンの構造をきわめて特異的に認識することが明かとなった。 2)血液凝固第V因子上のホスファチジルセリン結合部位の解析 これまでのホスファチジルセリン結合に関わる抗イディオタイプ抗体を用いた解析から、血液凝固第VIII因子のほかに第VIII因子ときわめて類似した構造および機能を有する血液凝固第V因子上にも同様のホスファチジルセリン結合部位が存在することが明かとなった。また、上記第V因子は牛血清からの大量精製が可能である故、本年度は、牛血清から大量精製した第V因子をもちいて、同蛋白質の臭化シアンあるいは各種のプロテアーゼによるペプチドフラグメントを作製し、抗イディオタイプ抗体によるホスファチジルセリン結合部位のマッピングを行こなった。その結果、血液凝固第V因子のL鎖上に、2つの異なったリン脂質認識部位が存在することが明かとなった。リン脂質認識部位の構造は、1つは、ホスファチジルセリンを極めて認識し、いま1つは、ホスファチジルセリンを含む酸性リン脂質を広く認識するものであることが示された。現在、リコンビナントL鎖を作製し、更に詳細なマッピングを継続中である。
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