研究概要 |
1.Cl^-輸送性ATPase遺伝子のクローニング及び全一次構造決定 カサノリに存在するCl^-‐ATPaseの構成サブユニットであるa(54kDa)・b(50kDa)サブユニットの遺伝子のクローニングをPCR法を利用して試みた。aサブユニットについては,PCR法によるCDNAライブラリーのスクリーニング→プラークハイブリダイゼーションにより約800bpより成るクローンを得た,又,同一のクローンがtotal RNAを逆転写後PCRにより増幅した場合にも得られた。塩基配列決定後,解析した結果,aサブユニットのN末端から蛋白質レベルで得たアミノ酸配列をコードしており,45アミノ酸残基まではCF_1‐ATPaseのαサブユニットと高い相同性を示すが,46残基以降は全く相同性が認められなかった。クローンの大きさも小さく,偽遺伝子の可能性が示唆された。bサブユニットについては,total RNAを逆転写後,PCRによる増幅を行う事で,重複する3種類のクローンを得,全体として1,427bpより成るbサブユニットをコードするORFをほゞ完全にカバーするものであった。塩基配列より翻訳されるアミノ酸配列には,蛋白質レベルで得たアミノ酸配列が確認された。概報のカチオン輸送性ATPaseと比較すると,FタイプATPase,βサブユニットに最も高い相同性を示した(N末端から120アミノ酸残基までは約70%,それ以降C末端までは90%以上の相同性が認められた)。 2.sulfate permease遺伝子のクローニング及び全一次構造決定 構成サブユニットと推定されるCysA,CysT,CysW蛋白質及びsulfate binding protein(SBP)について,total RNAを逆転写後,PCRによる増幅を試みた。cysAについては,新たにシアノバクテリアCysA蛋白質と48%の相同性を示す断片を得た。sbpについては,大腸菌・サルモネラ菌SBPと90%以上の相同性を示す遺伝子断片を得た。両者についてC末・N末への伸長を行っている。cysT/Wについては侯補クローンを複数得ている。
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