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1992 年度 実績報告書

培養血管内皮細胞の機能発現における細胞膜レセプターと細胞外基質の役割

研究課題

研究課題/領域番号 04671385
研究機関(財)東京都老人総合研究所

研究代表者

山本 清高  東京都老人総合研究所, 細胞生物学部門, 主任研究員 (90073022)

キーワード血管内皮細胞 / 細胞外基質 / V型コラーゲン / 細胞膜レセプター / F-アクチン線維 / 接着斑
研究概要

ヒト培養血管内皮細胞の機能発現に及ぼす細胞外基質の影響を検討した。20%牛胎児血清存在下で,プラスチックディッシュを対照とした時,細胞接着に対しては,ラミニン,V型コラーゲンおよびエラスチンは抑制した。フィブロネクチン,I,III,およびIV型コラーゲンはほとんど影響しなかった。細胞増殖に対しては,フィブロネクチンとI型コラーゲンは促進したが,エラスチンは内皮細胞の増殖をも抑制した。ところが,V型コラーゲンを基質として用いた時,内皮細胞は培養時間の経過と共に基質面から剥離し,細胞増殖は観察されなかった。
しかし,これらの結果は,血清中に存在するフィブロネクチンや増殖因子の影響を受けている可能性がある。そこで,これらの影響を避けるために低血清条件下(1%)で検討した。フィブロネクチンやI型コラーゲン上では,ヒト内皮細胞は0.5-1時間後には接着,伸展し,24時間後には高い接着率(75-78%)を示した。その後5日目まで直線的に増殖した。一方,V型コラーゲン上の内皮細胞は,一時的には接着、進展するが,次第に基質面から離脱し,24時間後の接着率は41%であった。これに対し,ヒト血管平滑筋細胞は何れの基質上でもよく接着,進展し,増殖した。
次に,F-アクチン線維および接着斑の形成を調べた。フィブロネクチンやI型コラーゲン上の内皮細胞は,24時間後にはF-アクチン線維を形成し,接着斑の形成部位にβ1インテグリンを集合していることが観察された。しかし,V型コラーゲン上の内皮細胞は,一時的には基質面に接着するが,24時間後に細胞内骨格が再構成されず,接着斑も形成されず,さらにβ1インテグリンも発現できないために,基質面から剥離する。しかし,離脱した細胞をI型コラーゲン上で再培養すると接着し,増殖することなどが判明した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] N.Hasegawa: "Senescenoe of cultured endothelial cells and extension of the life span." Tissue Culture Res.Commun.11(1). 67-75 (1992)

  • [文献書誌] K.Yamamoto: "Disassembly of F-actin filaments in human endothelial cells cultured on type V collagen." Exp.cell Res.201(1). 55-63 (1992)

  • [文献書誌] N.Hasegawa: "Epidermal growth factor suppresses in vitro senescence in the ability of human umbilical vein endothelial cells to proliferate,but not in the ability to produce prostacyclin." Mech.Ageing Dev.66(1). 107-114 (1992)

  • [文献書誌] 山本 清高: "内皮細胞障害と動脈硬化 ー増殖因子ー" 血管と内皮. 2(6). 593-600 (1992)

  • [文献書誌] M.Yamamoto: "Type I collagen promotes modulation of cultured rabbit arteria smooth muscle cells from a contractile to a synthetic phenotype." Exp.Cell Res.204. 121-129 (1993)

  • [文献書誌] N.Hasegawa: "A step in the process of prostacyclin production whose decline leads to the age-related decrease in production by human umbilical vein endothelial cells in culture." Mech.Ageing Dev.(1993)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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