研究概要 |
methylguanidine(MG)はその強い尿毒症起惹性が確認され,uremic toxinの1つとして有力視されている物質である。その産生経路については長らく不明の点が多かったが,著者らは先にMGの前駆体はcreatinine(Cr)であることを明らかにし,CrからのMG産生中間体としてcreatol,creatone A,creatone Bが関与している所見を報告した。次いで反応機構について検討し,Crからcreatolが産生される過程でhydroxyl radicalが関与していること,creatolからのMG産生に関与する酵素として肝microsomeよりL-gulono-γ-lactone oxidaseを,また腎よりこれまで報告されていない新規酵素を精製した。本年度はこのCr→creatol→MG系に影響を及ぼす和漢薬成分を検討した結果,丹参成分のmagnesium lithospermate BがCrからのcreatol産生をblockすることを見い出し,radical scavengerの可能性が示唆された。一方,Cr,creatol,MGの毒性を腎不全ラットの腎機能を指標に検討した結果,MGとcreatolがほぼ同等の腎機能低下作用を示し,Crではほとんど変化しないことから,Crからのcreatol産生をblockしたmagnesium lithospermate Bの発見はuremic toxinによって生ずる疾患の治療研究に重要な知見を与えるものと考える。
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