3種類のヒトcdc25(cdc25A、cdc25B、cdc25c)遺伝子は、アミノ酸配列がお互いによく似ており、活性ドメインがあるC-末側では、特に著しく、酵母やXenopus、Drosophilaのcdc25とも極めて高い類似性を示す。共に、in vitroでフォスファターゼ活性を持つ。これら3種のcdc25遺伝子は、mRNAの長さ、コードされている蛋白質の大きさ、発現量、分裂酵母の相補能に違いが見られる。特に、細胞周期での発現時期が異なっていることである。不死化していないヒト線維芽細胞をGoに停止させてから血清を加えて増殖を回復させ、細胞周期のパターンと発現量を調べると、cdc25Bとcdc25cは、S期から発現を始めG2期で最大となり、細胞分裂促進因子であるcdc25の機能とよく一致する。cdc25Bは、cdc25cと比べ、発現が数十倍高く、分裂酵母の変異株を極めて効率良く相補できること、更に、in vitroで14番目のスレオニン残基の脱燐酸化も触媒することから、分裂酵母本来のcdc25に対応するフォスファターゼ、即ち、中心的役割を担った細胞分裂促進因子と思われる。他方、cdc25Aは、cdc25Bより強い相補活性を示すが、cdc2キナーゼがまだ発現されていないG1後期でその発現が頂点に達し、G2期では、最も低い。従って、このフォスファターゼは、G1期後期で働くこれまで酵母で見つかっていない新しいタイプのcdc25フォスファターゼであると考えられる。
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