試案として作成した高齢者用ソーシャルサポート尺度(SSSA)を沖縄の地域老人を対象に適用し、その信頼性と構成概念の妥当性を検証するため、平成4年7月に沖縄県浦添市の在宅老人311名を対象に訪問面接調査を実施した。有効回答の得られた194名(62.4%)についてSPSS統計パッケージを用いて統計解析を行なった。SSSAは10の質問項目より構成され、下位尺度として手段的支援、情緒的支援および統合的支援を含む尺度である。 各質問項目の通過率(「はい」回答率)は54.4%から93.5%の範囲にあり、極端に偏った回答率はなく、ほぼ妥当な回答状況であった。尺度の構成概念を検証するため因子分析を行なったところ三つの因子が抽出され、第1因子が手段的サポート、第2因子が情緒的サポート、第3因子が統合的サポートを示す結果が得られた。尺度の内的整合性を示す信頼性係数(Cronbachのα係数)は、全体で0.665、第1因子0.711、第2因子0.704、第3因子0.810であり、十分信頼できることが認められた。 しかし、統合的サポートに含まれるベき質問項目10が第2因子の情緒的サポートと強く結びついており、因子負荷量も小さいことから、この項目を除いて再度因子分析を行なった。その結果三つの因子が抽出されたことに変化はなく、信頼係数は第1因子0.711、第2因子は0.747へ高くなり、第3因子は変らず0.811で、全体で0.631であった。 以上の分析結果から、この尺度案(SSSA)は構成概念および内的整合性も十分得られ、高齢者のソーシャルサポートを評価する尺度として実用的であると判断できる。
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