研究課題/領域番号 |
04671402
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
沖田 美佐子 岡山県立大学, 保健福祉学部・栄養学科, 教授 (70079242)
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研究分担者 |
山本 純子 中国短期大学, 生活科, 講師 (40200810)
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キーワード | 肝硬変 / 栄養 / 多価不飽和脂肪酸 / アルコール性肝障害 / リン脂質 / アラキドン酸エチルエステル / ドコサヘキサエン酸 / プロスタグランデイン |
研究概要 |
アルコール性肝障害の予防と治療における多価不飽和脂肪酸補給の意義を検討した。 1、エタノール投与ラットの肝ならびに血清脂質に及ぼす食餌脂肪の影響とアラキドン酸補給の効果 食餌の脂肪酸組成がアルコール性肝障害の発症に及ぼす影響とラットを用いて検討した。ラード食ではコーン油食に比し肝リン脂質のリノール酸とアラキドン酸が有意の低値を示し、アラキドン酸エチルエステル(AA)の添加で上昇した。エタノール投与(3g/Kg/日)はコーン油群のアラキドン酸を低下させた。また、AA添加はラード食のエタノール投与群において肝TG量を減少させた。肝6-ケトPGF_1alpha量はラード食群で明らかな低値を示した。コーン油食群ではアルコール投与によって肝6-ケト-PGF_1alpha量は低下し、AAの添加で回復した。これらの結果は、アルコール性肝障害の発症にリノール酸の過剰摂取とアラキドン酸欠乏の両者が関与していることを示唆しており、肝障害の予防と治療における適切な脂質栄養の重要性を示すものである。 2、常習飲酒家にみられる血清多価不飽和脂肪酸濃度の異常と肝障害 入院中の常習飲酒家を対象に血清リン脂質の脂肪酸組成と食事摂取状況を調べた。常習飲酒家の入院前脂質摂取はエネルギー比11.0%という低値で、血清リン脂質のリノール酸が低値を示した。肝障害を有する症例ではアラキドン酸とトコサヘキサエン酸の低下がみられ、必須脂肪酸摂取不足とともにn-3およびn-6系多価不飽和脂肪酸生成障害が推測され、多価不飽和脂肪酸補給による栄養治療が期待される。
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