研究課題/領域番号 |
04671414
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
矢内原 千鶴子 大阪大学, 医学部・附属病院, 教授 (00046252)
|
研究分担者 |
黒川 信夫 大阪大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60225282)
|
キーワード | 神経ペプチド / 血管作働性腸管ペプチド(VIP) / ガラニン / 脳循環代謝改善剤 / ラジオイムノアッセイ / レセプターアッセイ / 薬物結合部位 |
研究概要 |
平成4年度に引き続き、同効の脳循環代謝改善剤に分類されている代表的な薬剤塩酸ビフェメラン(BFM・HCl)および塩酸インデロキサジン(IND・HCl)のラット脳内VIPおよびガラニンに対する作用を追跡し、両者の相違を解析・比較した。腹腔内単回投与のBFM・HCl、IND・HClはともに大脳皮質、視床におけるVIPの濃度を有意に上昇させたが、時間経過、用量変化にともなうその変動パターンは、両薬剤間で明らかに異なり、変動の割合もIND・HCl投与の場合の方が顕著であった。一方、ガラニンについては、BFM・HCl投与によって視床で有意な低下が認められたが、IND・HCl投与の場合は、大脳皮質、視床ともにガラニンに変動はなかった。臨床的にも薬理学的にも同効薬物として分類されているBFM・HCl、IND・HClであるが、神経ペプチドVIP、ガラニンを指標とするとき両者は明らかにその作用機作を異にすることが示された。^<14>C-INDをもちいIND・HClおよびBFM・HClのラット脳内結合について詳細に検討し、大脳皮質、視床、小脳、中脳、橋、延髄の各シナプトソーム分画に両薬剤がほぼ同等の親和性を示す特異結合部位の存在することを明らかにした。本結合部位への両薬剤の結合親和性については、各組織間で差は認められなかった。大脳皮質シナプトソーム分画をもちいる解析により本結合部位には高親和性と低親和性の2つが存在し、また、IND、BFMのみならず、イミピラミン、プロプラノロールもほぼ同等の親和性を示すことを明らかにした。本結合部位へのこれら薬剤の結合が細胞内情報伝達系に連動する薬理効果発現のための主要なトリガーとなるものであるか否か、あるいは既に報告されているこれら薬剤による神経伝達物質の取り込み阻害に関係するものであるかについては今後の更なる検討が必要である。
|