研究概要 |
研究方法;約350gのWistar系雄性ラットを用い、麻酔下に腹腔動脈に挿入しカニュラーを介して、100uM Neostigmineを含有したKrebs‐Ringer液を毎分4mlの流速で灌流しながら、両側の迷走神経および左胃動脈周囲の胃交感神経を温存した状態で胃嚢を摘出した。門脈からの流出灌流液を2分毎に採取し、採取したサンプルを直接高速液体クロマトグラフィーをもちいた分析システムに注入し、内因性アセチルコリン(ACh)を酵素カラムおよび電気化学検出器を用いて測定した。実験成績;(1)胃には約20nmolのAChが存在し、AChの基礎流出量は約20pmol/2min(0.1%oftissue)であった。両側迷走神経を2msecond,10mA,1Hz,2.5Hz,5Hzの刺激条件下に2分間電気刺激すると刺激頻度に応じてACh流出がみられ、この迷走神経刺激によるACh流出は、Ca++free‐mediumおよび0.3uM TTXにより完全に消失した。(2)迷走神経刺激(2.5Hz)によるACh流出はOxotremorine(ムスカリン受容体刺激薬)により用量依存的に抑制され、一方、Atropine(ムスカリン受容体遮断薬)により用量依存的に増強した。さらにムスカリン受容体サブタイプとの関連では、4‐DAMP、methoctramine、pirenzepineの順に増強作用が大きかった。(3)アトロピン存在下の迷走神経刺激(1Hz)によるACh流出はClonidine(アドレナリン-アルファ-2受容体刺激薬)により抑制された。さらに、電気刺激によるACh流出は胃交感神経刺激(5Hz)によりACh遊離は著しく抑制され、この抑制作用はRauwolscine(アドレナリン-アルファ-2受容体遮断薬)により選択的に遮断された。結論;胃迷走神経終末から遊離したAChはM3ムスカリン受容体を介して抑制的に自己遊離調節を行う。さらに、胃交感神経は迷走神経に節前性に作用しアドレナリン-アルファ-2受容体を介してACh遊離を抑制する。次年度さらに研究を進め、薬物の検討方法を確立したい。
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