病院情報システムの発達はめざましいが、複数の医療機関において病歴情報を共有化することを想定したシステムの構築例は少ない。機能の異なった医療機関が合理的に情報を共有化しながら、連携して医療活動を行うことが、地域医療の質を向上するためにも求められている。本年度の研究においては、筑波大学附属病院と筑波大学陽子線医学利用研究センターとの間で、電子化された画像情報の共有化を図ることを検討した。 筑波大学附属病院では、個々のX線検査や機能検査毎に固有の識別番号を付与している。この識別番号は13桁の数字であり、その内容としては、検査の実施された部門、検査の大分類、検査実施日、検査受付番号により構成されている。電子内視鏡システムの導入と病院情報システムとの接続を行い、この識別番号をキーに、双方のシステム間での情報伝達を行うことを可能とした。また、平成5年度に超音波画像のファイルリングシステムの導入を予定しており、識別番号を用いてシステム間の情報伝達を行うための仕様を検討した。また、CTおよびMRIに関して、検査実施時にこの識別番号を情報として入力するための仕様について検討を行った。 筑波大学陽子線医学利用研究センターでは、画像情報用システムの導入を行った。筑波大学附属病院で実施された各種検査の画像情報を、陽子線医学利用研究センター側で蓄積・利用するために、光磁気ディスクを媒体とした画像情報の受渡しを前提としてシステム設計を行った。光磁気ディスクのフォーマットとして、IS&C形式に準拠したものが、最も標準化されており、妥当であると判断された。 読影レポートの電子化に関して、現在フォーマットおよび入力システムについて検討を行っており、平成6年度に導入を計画している。
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