患者診療データ、特に検査データを大量に記録した光カードが私どもの研究により近く実用段階に達する。カードに氏名、住所、通院している医療機関と担当医、病名などを記録してあるので、このカードが最も威力を発揮するのは救急・救命の際であることは明かである。従って、厚生省が救急車に救急ドクターを搭乗させることを政策としているので、患者情報をいち早く知るために光カード読み取り装置を救急車に積載することが必要である。しかし、国内、国外とも救急車に光カード読み取り装置を積載する場合のデータの信頼性に関する研究は行なわれていない。 私どもは救急車での実験のシュミレーションとして乗用車を利用し、様々な条件での走行に際しての振動を疑似した実験を行い、装置の耐震性を調べた。すなわち、乗用車の後部荷物置き場に光カード読み書き装置を積載して高速道路、市街地道路、未舗装道路での走行を行った後、カードデータの読み書きの信頼性を調べた。その結果、高速道路、市街地道路、未舗装道路の何れでの走行でも装置の異常作動やデータの読み書きに異常が認められなかった。しかし、未舗装道路での振動は著しいので、乗用車に比して車輪スプリングの硬い救急車では振動がより強いので、装置の光学系に影響を与える虞れがあるため、振動吸収のため装置の懸架などの工夫が必要であると考えられる。
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