研究概要 |
【PCRプライマーの作成】転写活性を有するαグロビン遺伝子には相同性の高い二つの遺伝子(α1,α2)がある。それぞれの遺伝子の5′側千塩基以上まで同一配列であるが、3′非翻訳領域には異なる配列が少し見出される。以上より、5′プライマーは同一とし、3′非翻訳領域に設けられた配列の異なる二つの3′プライマーでα1とα2遺伝子増幅を区別をすることにした。プライマーの配列は以下の通り;5′‐CACTCTTCTGGTCCCCACAGACTCA(5′α共通)、5′‐CCCATGCTGGCACGTTTCTGAG(3′α1)、5′‐AACACCTCCATTGTTGGCACATTCC(3′α2)。遺伝子欠失によるα^+サラセミアには二つの欠失の仕方があり、相同性の低い部分に適当なプライマーを設定することによりそれぞれを特異的に増幅することが可能であるはずである。この目的で5′‐CCTCACCTACATTCTGCAACACAG(5′α‐RD)を設けた。 【PCRによるαグロビン遺伝子の増幅】上記プライマーを用いてα1、α2グロビン遺伝子の特異的増幅を試みた。しかし、予想以上にこれは難しく、多くの非特異的増幅が得られるばかりであった。そのために別の配列のプライマーを用いて現在も検討中である。α遺伝子に関してはやっと増幅が成功したかもしれない状況にある。増幅されたDNA断片の電気泳動上の認識は本研究費で購入されたUVトランスイルミネーターを用いて行っている。また確定のためにはビチオン化プローブを、PCRには多くのDNAポリメラーゼを用いた。 【PCRによるα^+サラセミア遺伝子の増幅およびそのスクリーニング】α^+サラセミア遺伝子(一遺伝子欠失)の特異的増幅も上記と関連しており、未だ成功に至っていない。したがって、スクリーニングを行えるまでに至っていない。 本課題のPCRによる日本人αサラセミアの遺伝子解析(迅速診断)の試みは挫折を強いられているが現在もなお、粘り強く継続中である。
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