<目的> 生理的な最強の血小板機能抑制物質は血管内皮細胞で産生されるプロスタサイクリン(PGI_2)である。今回はPGI_2と血小板の相互作用を、PGI_2の安定誘導体であるIloprostを用いて、心筋梗塞、脳血栓症を好発する高脂血症患者において検討した。 <方法> (1)血小板感受性試験:患者血小板豊富血漿(PRP)を各濃度のIloprostとともに孵置し、コラゲン(10μg/ml)によって惹起される凝集を50%阻止するIloprost濃度(IC_<50>)をもって、血小板のPGI_2に対する感受性とした。 (2)血小板膜PGI_2レセプター ;血小板膜サンプルと〔^3H〕Iloprostを孵置し、Whatman glassfilterGF/cを通過させ、フィルターを洗浄、乾燥後、放射活性を測定した。 (3)血小板cAMP測定:患者血小板をIloprostとホスホジェステラーゼ阻害剤であるIBMXとともに孵置し、ELISAを用いて、血小板cAMP濃度を測定した。 <結果> (1)Iloprostに対する感受性は、正常者に比し、高コレステロール血症を示すType II_a、II_bに高かった。 (2)Iloprost結合数は、正常者血小板より高コレステロール患者血小板に増加していた。 (3)Iloprost+IBMX刺激による血小板oAMP濃度は、正常者より高脂血症患者において増加が少なかった。 <考察>これらの結果は、PGI_2結合からcAMP産生への経路の異常を示唆するが、さらに検討が必要である。
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