研究概要 |
昨年度に達成されたブドウ球菌性表皮剥脱素精製法の改良とPCR法による患者HLA-DR領域のクラスタイピングによって,今年度は患者材料による本毒素に対する免疫応答能と疾患感受性の検討を行った。本研究ではブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群の発症様式を患者の本毒素に対する免疫応答即ち抗体価上昇,リンパ球機能や感作リンパ球の動態,クラスII HLAとの相関に求めている。 具体的には山形県と東京都の病院の協力を得て,患者から原因黄色ブドウ球菌,血液を採取した。原因菌の分離・同定は型はごとく,輸送培地を用いてスワブを血液寒天,マンニット食塩培地に接種し,試験管法でコアグラーゼ産生能を確認した。本A毒素,B毒素の産生はその遺伝子DNAをPCR法で検出する桜井らの方法を用いて確認した。また分離菌のファージ型別も適宜行った。患者血液は血清とリンパ球に分け,DNAはリンパ球から調整した。その結果,本毒素A(ETA)及びPHA刺激による初回感染例患者リンパ球の反応性とHLA-DRの遺伝形質がDR2,DR6をハプロイドの1つに有する患者ではETAに対する反応性が低く現われる傾向がみられ,ディプロイドにDR2,DR6を有する患者ではETA,PHAに対する反応性が極めて低く観察された。 次年度ではさらに患者検数を増やして検討し,合わせて抗体価の測定をELISA法で行う。
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