研究課題
慢性疾患をもつ小児が、治療を続けながら社会生活をしていく力を育み促進する援助方法を見出すための基礎資料を得ることを目的として、調査を行った。対象:10〜18歳、定期的に受診している(1年に1回以上)、家庭での療養活動がある、学校生活を送っている者。対象疾患は、糖尿病(IDDMならびにNIDDM)、悪性腫瘍(白血病、悪性リンパ腫)、腎疾患(慢性腎炎、ネフローゼ症候群)、心疾患、気管支喘息、てんかん。各疾患につき30〜40例を目標とする。調査方法:外来受診時に本人に回答してもらう質問紙調査。内容は(1)年齢、学年、性、家族構成、家族の健康状態、両親の職業、通院方法・時間、(2)ストレス体験、(3)ソーシャルサポートと自我状態、(4)療養行動(自立状況、思考力、気持ちを含む)、(5)学校生活、(6)家庭生活、(7)DTI(自主性テスト)。外来力カルテからの調査(発症年齢、身長、体重、現在の治療処方、現在の病状)調査施設:千葉大学医学部附属病院小児科外来、千葉県こども病院外来、国立療養所千葉東病院小児科外来(腎疾患のみ)、三重大学医学部附属病院小児科外来(悪性腫瘍のみ)調査期間:平成5年2月1日〜4月10日(慢性疫患の学童を対象とする調査であるため、春休みを含める必要がある)調査実施経過と結果:3月20日現在、糖尿病と腎疾患については調査をほぼ終了したが、他の疾患については調査継続中である。分析結果は未だ出ていないが、調査を通じ、(1)現在の本人のストレスは比較的少ない、(2)母親のストレスが非常に大きい、(3)療養行動の母親への依存度が大きい、(4)「めんどう」という気持ちが強い、(5)学校関係者の無理解がある、等が感じられた。