研究概要 |
【目的】 人工股関節全置換患者の患者教育に有効な手段を明らかにするために、本年度は、術前の日常生活関連動作や術後の生活の満足度(QOL)を経時的に捉らえ、QOLを高める要因についても検討した。 【対象および方法】 金沢大学医学部附属病院で人工股関節全置換術を受け、退院後の6ヵ月以上の経過を追跡することのできた患者61名(男11名、女50名)であり、平均年齢は53.2±7.9歳である。 測定用具は、(1)日常生活動作得点…8動作について術前、術後3,6,9,12ヵ月後調査した。 (2)生活の満足度(QOL)はSelman,S.W.のModified Arthritis Impact Measurement Scaleを日本語訳して使用し,術後半年後と1年後の2回調査した。(3)健康行動の中核をしるためにMultidimensional Health Locus of Control(MHLC)を6〜9ヵ月以後に調査した。(4)日常生活の過し方に関するアンケート…日常生活の過し方、杖使用の有無、体重の変化等を3,6,9,12ヵ月後に調査した。 【結果の概要】 (1)対象の症患では、変形性股関節症が44名(72%)と最も多く、次いで大腿骨頭壊死8名の順であり平均罹病期間は7.5±6.7年であった。 (2)日常生活関連動作8動作は術前に自立の低い群も1年後にほぼ自立を示した。即ち、自立の高い群は低い群に比べて3,6ヵ月後では有意に自立が高かったが、12ヵ月後では変らなかった。 (3)QOLサブスケールの経時的な比較では、6ヵ月後と12ヵ月後に特徴的な変化がみられたのは、可動性と社会活動であった。
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