研究課題/領域番号 |
04671455
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
八木橋 操六 弘前大学, 医学部, 教授 (40111231)
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研究分担者 |
小沼 富男 弘前大学, 医学部, 助教授 (00150251)
馬場 正之 弘前大学, 医学部, 助教授 (90106849)
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キーワード | 糖尿病 / 末梢神経障害 / 再生神経 / 形態計測 / 神経成長因子受容体 / ニューロフィラメント / 軸索変性 |
研究概要 |
昨年度の研究では、実験的糖尿病ラットで神経再生の障害が神経切断後2、4、6週の時点で、再生線維の径の減少として捉えられることを証明できた。また、これに対し、神経成長因子受容体(NGFR)は糖尿病ラットで免疫組織化学的には大きな変化を示さないことが明らかにされた。今年度の研究では、さらに形態計測を電顕レベルで行うこと、また再生線維の異常が神経軸索骨格蛋白の合成障害によるものか否かを検討した。また少数例ではあるが、ヒト糖尿病患者でニューロパチー症候の強い患者3例において末梢神経生検を行い、非糖尿病者剖検例3例および他の軸索型および脱髄型ニューロパチー症例での再生障害について光顕観察とともにNGFR発現について免疫組織化学的に検討を加えた。糖尿病ラットでの実験では、ウィスター系雄ラットにストレプトゾトシンを静注し作成した随時血糖350mg/dl以上の糖尿病ラットに左右坐骨神経を大腿骨下端にて切断し、以後2週、4週での神経再生について電顕的に形態計測を行った。また同時に、坐骨神経支配領域の脊髄知覚神経節も採取し、ニューロフィラメント(NF-68)mRNAレベルをNorthern blot法で検定した。 結果として糖尿病ラットでは対照ラットに比し再生線維の径の減少が明らかであり、また軸索径の減少をみた。NF-68mRNAの発現は、糖尿病ラットで明らかに低値であり、骨格蛋白の合成障害のあることが証明された。さらに、ヒト糖尿病での末梢神経ではNGFR発現は軸索型ニューロパチーと比較できる程度であったが、脱髄型ではNGFRの発現は弱かった。これらの結果より、糖尿病での神経再生の障害が軸索骨格蛋白の不全を基盤として起こり、NGFRの発現とは関係のないことが明らかとなった。また、糖尿病での神経障害が脱髄とは異なる軸索型であることも明らかとなった。
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