研究概要 |
平成4年度ではRCC-K1の無血清培養上清3Lを用いてsmall scale実験を行ない、RCC‐OTFの各種クロマトグラフィーでの挙動、安定性、SDS-PAGE後のゲルからの回収を検討した。試料中の骨吸収活性はCa‐45で生体標識された新生児マウス頭蓋骨を用いた器官培養系により検出した。その結果、Hepes 20 mM(pH8.0)で平衡化されたDEAE担体を用いると非吸着画分に活性が回収され、共存する微量の1L‐1から分離できた。引き続いて、DEAE非吸着画分を5mMK_3PO_4,pH7.2,で平衡化したHA担体に通塔したところ、RCC‐OTFは非吸着画分に回収され、夾雑蛋白を効率的に除去できた。次に、TFAで平衡化したC8担体に通塔し、40%acetonitrileにてカラムよりRCC‐OTFを溶出できた。以上の操作により、無血清培養上清より数千倍のオーダーでRCC‐OTFを精製できることが明らかとなった。このように平成4年度ではRCC‐OTFの精製法を開発した。ただし、粗精製されたRCC‐OTFは酸や中性の尿素には安定であるものの、アセトニトリルや凍結乾燥操作、SDS‐PAGE後のゲルからの回収には不安定である。したがって、大量培養によりRCC‐OTFの精製、構造決定を成功させるためには、これらの問題点を解決、もしくは回避する必要がある。くわえて、構造解析には精製品の純度をさらに10倍程度上げる必要がある。
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