研究概要 |
平成五年度では昨年度に引き続いてRCC-K1の無血清培養上清を出発材料としてRCC-OTFの各種クロマトグラフィーでの挙動、活性の安定性を検討した。試料中の骨吸収活性はCa-45で生体標識された新生児マウス頭蓋骨を用いた器官培養系により検出した。この過程で、RCC-K1の産生するRCC-OTFの比活性がロットにより大きく変動するようになった。この原因を解明する作業の中でRCC-K1のすべてのロットがマイコプラズマに汚染されていることが判明した。そこで、抗マイコプラズマ剤(MC-210)処理をおこなったところ、マイコプラズマが除染されたRCC-K1からはRCC-OTF産生が検出できなくなった。この現象は、培地の種類(AlphaMEM,DMEM/HAM F12,HAM F12,DMEM)によらず、培地に添加する牛胎児血清の濃度やロットとは無関係であり、また、細胞の稠密度とも関係しなかった。一般にマイコプラズマに汚染された細胞では各種のサイトカインの産生が影響を受けることが知られており、マイコプラズマに汚染されたRCC-K1からのRCC-OTFの産生もマイコプラズマ汚染によって何らかの調節を受けている可能性がある。あるいは、RCC-OTFがマイコプラズマの遺伝子産物である可能性も否定できない。現在、複数のマイコプラズマ除染剤をもちいて、除染されたRCC-K1からのRCC-OTF産生のための条件を再検討中である。
|