研究課題/領域番号 |
04671475
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
笠木 寛治 京都大学, 医学部, 助教授 (20115819)
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研究分担者 |
御前 隆 京都大学, 医学部, 助手 (60181872)
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キーワード | 自己免疫性甲状腺疾患 / 甲状腺増殖刺激抗体 / FRTL-5細胞 / TSH受容体抗体 / サイトカラシンB / サイトカイネーシスブロックアッセイ |
研究概要 |
私たちはラット甲状腺細胞株であるFRTL-5細胞を用い、バセドウ病患者IgGが細胞内のc-myc、c-fosの発現を増強させることを以前に見いだし、さらにその活性が甲状腺腫の大きさと相関することを明らかにした。これらのoncogeneは細胞の増殖と関係することが知られており、これらの成績は増殖関連刺激抗体がバセドウ病患者血中に存在する説を支持するものである。 今回私たちは新しい増殖刺激活性の測定法として、FRTL-5細胞を用いるcytokinesis block assayの開発を行った。assayに用いるcytochalasin B(CB)は細胞分裂は阻害するが、核分裂にはほとんど影響しないので、細胞増殖の盛んな系ほど多核細胞が多数出現する。方法としてはFRTL-5細胞を2×10^4/9.6mm^2の密度で培養し、CB2μg/mlとTSHやバセドウ病患者IgGを加え、1 dish当り500個の細胞数(C)と核の数(N)よりN/C比を求め、細胞増殖の指標とした。N/C比は1 mU/mlのTSH添加48時間より増加し始め、4-5日後には約2倍となった。TSH0.001mU/mlで有意のN/C比の増加がみられた(TSH free:1.15±0.02(SD);TSH0.001mU/ml:1.26±0.01;TSH0.01mU/ml:1.31±0.06;TSH0.1mU/ml:1.75±0.05;TSH1mU/ml2.05±0.04)。1例のバセドウ病IgGでは0.01ml serum eq./mlの濃度で4日後に1.8倍のN/C比の増加が認められた。本法は甲状腺増殖因子の解明や増殖刺激あるいは抑制抗体の検出に有用であり、今後の臨床応用が期待される。 阻害型TSH受容体抗体が、NaCl除去Sucrose添加等張mediumの存在下で、TSH刺激によるFRTL-5細胞ヘのヨード摂取を却って上昇させることを最近明らかにした。このように阻害型抗体が一定の条件下で刺激作用を示したことは興味深く、今後増殖に及ぼす刺激作用についても検討したい。
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