研究概要 |
Wister Fattyラット(WFラット)に対するAD-4833投与の効果 WFラットが生后8週の時点でlittermateと比して、明らかな高血糖、高インスリン血症,肥満を来すことをまず確認した。生后8週目のWFラットを2群に分け、AD-4833投与群と通常えさ(CE)投与群とした。AD投与群では2日目以降に明らかな血糖低下効果を認めた。同群ラットのインスリン血中濃度はCE群に比して50%以下に低下していたため,AD群で認められた血糖降下作用は、膵B細胞のインスリン分泌刺激によるものではなく、糖利用促進あるいは、糖産生抑制によるものであることが推察された。AD-4833のこのような効果の作用点がどこにあるのかを明らかにするため肝解糖糸の律速酵素であるグルコキナーゼ(GK)と6-フォスフォフルクト-2-Pナーゼ/フルクトース-2,6-ビスフォスファターゼ(PFK_2/F_<26>P_2)の活性が、AD投与后どのように変化するかを調べた。過去2回の実験ではGKおよびPFK_2/F_<26>P_2 両酵素活性は、AD群、CE群間で違いが認められなかった。またWFラットとlittermate間でも両酵素活性に違いを認めなかった。従って現在までのところ、両酵素の発現の異常が、WFラット糖尿病発症と強くかかわっていることや、AD作用の作用点が両酵素の活性調節であることの可能性は低いと考えられた。またAD投与前后で種々の血液中の中間体(アラニン、グリセロール,3HB,ラクテート,パイルベート)を測定した。WFラットでは、littermateに比して、グリセロール、ラクテート,パイルベートが上昇していた。AD投与后、グリセロールは低下、ラクテート、パイルベートは上昇傾向を示した。このような結果はWFラットにおいてAD投与后.すみやかに体内での糖利用亢進が起こり、その結果として血糖降下が認められる可能性を強く示唆しているものと考えられた。
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