研究課題/領域番号 |
04671484
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
吉本 勝彦 徳島大学, 医学部・額助教授 (90201863)
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研究分担者 |
佐野 壽昭 徳島大学, 医学部, 講師 (80154128)
岩花 弘之 徳島大学, 医学部, 寄附講座担当教員
板倉 光夫 徳島大学, 医学部, 額教授 (60134227)
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キーワード | 内分泌腫瘍 / Gsα遺伝子 / 変異 / 多発性内分泌腫瘍症1型 / 第11染色体 |
研究概要 |
約200例の内分泌腫瘍におけるGsα遺伝子コドン201あるいは227の変異の有無について検討した。ゲノム遺伝子に変異が存在すれば、PCR産物が特定の制限酵素で切断可能となるように、PCRのプライマー自体に種々の変異を導入した。制限酵素処理後のDNA断片の長さを検討することにより、放射性同位元素を用いることなく変異の有無をスクリーニングできるPCR-PIRA(primer-introduced restriction analysis)法を開発した。PCR産物を制限酵素処理後ポリアクリルアミドゲルににて泳動し、エチジウムブロマイド染色により切断の有無を検出する。スクリーニングにより変異が予測される試料に対しては、直接塩基配列決定法により塩基置換を同定した。その結果、4例の成長ホルモン(GH)産生下垂体腺腫、4例の甲状腺乳頭癌、1例のアルドステロン産生副腎皮質腺腫にGsα遺伝子コドン201の塩基置換を認めた。特にGH産生下垂体腺腫における変異の頻度は9%であり、欧米の40%に比べると低く、変異の頻度に人種差が存在することが示唆された。 またDNA自動シークエンサーを用いたマイクロサテライト解析を、パラフィン包埋試料および凍結腫瘍より抽出したDNAに応用し、腫瘍におけるヘテロ接合性の消失(LOH)を検討した。多発性内分泌腫瘍症(MEN)1型2症例において、第11染色体のMEN1型原因遺伝子が位置する第11染色体長腕(11q13)近傍のマーカーを検討したところ、下垂体、副甲状腺、膵の3つの内分泌腺の腫瘍に共通したLOHを認めた。しかも同一内分泌腺に生じた複数個の腫瘍においても共通したLOHを認めた。これらの結果より、本症における内分泌腺の腫瘍化は、第11染色体長腕(11q13)に位置するMEN1遺伝子の機能消失を共通の基盤として発生することが示唆された。
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