脳内微小透析法による視床下部ホルモン分泌調節機構に関する研究

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04671486
• 研究機関: 徳島大学
• 研究代表者: 板東 浩 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (60228690)
• 研究分担者: 木村 建彦 徳島大学, 医学部・附属病院, 医員 ; 若槻 真紀 徳島大学, 医学部・附属病院, 医員 ; 新谷 保実 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (10235773)
• キーワード: Microdialysis / Hypothalamus / Somatostatin / TRH / GHRH / Circadian rhythm / Rat

研究概要

当該年度には、脳小微小透析法により視床下部ホルモンであるSomatostatin(SRIF),Thyrotropin-Releasing Hormone(TRH)の分泌調節機構に関して研究を行い、研究成果が得られたので、その概要を述べる。
1)脳内微小透析法によって微量の視床下部ホルモンを測定する際には、PC膜とPS膜が有用であることが明らかとなった。
2)Somatostatin(SRIF)の分泌調節:ラット下垂体の細胞外液中のSRIF濃度は35〜97pg/mlであり、明期(35-55pg/ml)よりも暗期(60-97pg/ml)に高いというサーカディアンリズムの存在が見いだされた。また、3〜6時間間隔で一過性のSRIF濃度の上昇も認められた。さらに、各種麻酔薬の視床下部からのSRIF分泌に及ぼす影響を検討すると、ウレタン麻酔によりSRIF濃度は増加し、ペントバルビタール麻酔では減少した。
3)Thyrotropin-Releasing Hormone(TRH)の分泌調節:ラット視床下部室傍核における微小透析により得られた透析液中のTRH濃度は10.pg/ml以下-7.6pg/mlの間で変動し、明条件下では2.15±1.46pg/ml,暗条件下では2.74±1.65pg/mlであり、暗条件下で高い傾向が認められた。
4)以上の結果から、視床下部ホルモンの分泌動態は、脳内微小透析法により、直接的かつ動的に測定することが可能であることが明らかにされた。現在、Gonadotropin-Releasing Hormone(GnRH)ならびにGrowth Hornome-Releasing Hormone(GHRH)の分泌動態についても検討中である。

研究成果

• [文献書誌] Takahashi H.,Bando H.,Saito S.: "Measurement of somatostatin release in the rat brain by microdialysis" J Neurosci Method. 9(in press). (1994)
• [文献書誌] 高橋秀夫、斎藤史郎: "脳内微小透析法による神経ペプチドの解析" 日内分泌会誌. 70(印刷中). (1994)
• [文献書誌] 岡内泰弘、高橋秀夫、板東浩、斎藤史郎、他: "ラット視床下部におけるThyrotropin-Releasing Hormone(TRH)の分泌動態-脳内微小透析法による検討" 日内分泌会誌(抄録). 69. 727 (1993)
• [文献書誌] 高橋秀夫、新谷保実、石川雅康、板東浩、斎藤史郎他: "ラット下垂体におけるソマトスタチン濃度の日内変動-脳内微小透析法による検討" 日内分泌会誌(抄録). 68. 808 (1992)
• [文献書誌] 岡内泰弘、新谷保実、高橋秀夫、板東浩、斎藤史郎他: "脳内微小透析法によるThyrotropin-Releasing Hormoneの測定" 日内分泌会誌(抄録). 68. 435 (1992)
• [文献書誌] 高橋秀夫、新谷保実、岡内泰弘、板東浩、斎藤史郎他: "ラット下垂体におけるソマトスタチン濃度の変動-脳内微小透析法による検討" 日内分泌会誌(抄録). 68. 320 (1992)
• [文献書誌] Takahashi H.,Bando H.,Saito S.: "Ninth International Congress of Endocrinology(abst)" Study on regulatory mechanism of somatostatin release in the rat using brain microdialysis technique, 301 (1992)
• [文献書誌] 板東浩、高橋秀夫、新谷保実、斎藤史郎: "研究年報 Annual RESEARCH reports 16" 財団法人 成長科学協会, 401-410 (1992)