研究概要 |
高比重リポ蛋白(HDL)及びその主要蛋白であるアポ蛋白(アポ)AIは動脈硬化発症の負の危険因子として注目を浴びている。HDL、アポAIは、組織に沈着したコレステロールを引き抜く、いわゆるコレステロール逆転送系を活性化させることが主要な役割で、コレステロールを沈着させる低比重リポ蛋白(LDL)とは相対した働きを持つ。 [計画1]ウサギを用い、正常食又はコレステロール負荷食下で、HDL-アポAIの異化速度(FCR)、合成率(代謝回転率)を算出した。アポAI FCR、合成率は正常食(n=5)で(0,502±0.060/day、18.14±3.75mg/kg per day)、0,5%コレステロール負荷食(n=10)で(0.621±0.099/day、40.08±23.76mg/kg per day) [計画2]HDL代謝を変動させる種々の条件下(抗脂血薬、降圧薬、ホルモン薬投与前後)で、ウサギプロアポAI、アポAI、及びそのイソ蛋白の生体内代謝回転様式(異化率、合成率)の変化を検討した。0,15%プラバスタチンを0.5%コレステロール負荷食下(n=4)に投与すると血清総コレステロールの著減、HDL-Cの有意な減少がみられ、アポAI FCR、合成率もそれぞれ0.546±0.017/day、14.76±7.1mg/kg/dayと低下した。これに1%プロブコール食をさらに添加すると(n=4)0.730±0.126/day、11.21±2.38mg/Kg/dayとFCRの増加、合成率の有意な低下がみられた。しかし、プラバスタチン、プロブコール共にアポAI mRNAレベルには影響を及ぼさなかった。 [計画3]大腸菌(LN109株)由来ヒトプロアポAI(rh-MetプロアポAI)を合成、精製した。プラスミド、pアポAIはアポAI cDNAのfull lengthをEcoRIとBamHIの間に挿入した。ウサギアポAIは既に精製済みであるが、イモビラインドライプレ-ト(ph4-6)を用いて更に各アポAIイソ蛋白(プロアポAIも含む)に分離、精製を行った。
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