研究課題/領域番号 |
04671504
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
武蔵 学 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (00120064)
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研究分担者 |
桜田 恵右 北海道大学, 医学部, 講師 (80002161)
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キーワード | 造血幹細胞 / 造血前駆細胞 / 芽球コロニー / ホルボルエステル / プロテインキナーゼC / スタウロスポリン / IL-11 |
研究概要 |
本研究はin vitroで検出可能な最も幼若な造血前駆細胞である芽球コロニー形成細胞におけるインターロイキン-11(IL-11)の細胞内シグナル伝達機構を明らかにすることを目的とした。この未分化造血前駆細胞を生化学的検討に耐えるだけ集めることは困難なため、本年度は予備的研究として細胞内シグナル伝達上重要なプロテインキナーゼC(PKC)の活性化剤であるホルボルエステル(TPA)および種々の蛋白質リン酸化酵素阻害剤の芽球コロニー形成細胞への作用を検討し、以下の結果を得た。1. TPA単独ではマウス芽球コロニー形成を支持し得なかったが、IL-3との併用によりIL-3単独に比し有意にコロニー数を増加させた。ディアシルグリセロール誘導体のOAGもTPAと同様の作用を示したのでTPAの作用はPKCの活性化を介するものと考えられた。2. コロニー形成を経時的に観察するとTPAは芽球コロニーの出現を早めることはなく、IL-6やIL-11のような前駆細胞のGo期を短縮する作用はないと考えられた。3. 芽球コロニー構成細胞は高い二次コロニー形成能を有する比較的均一な細胞集団である。これをハーベストし二次コロニー形成に及ぼすTPAの作用を検討すると、1.同様IL-3依存性コロニー形成を有意に増加させ、TPAの作用はコロニー形成細胞に直接作用することが示された。4.PKC阻害剤のスタウロスポリンは1.および3.に示したIL-3あるいはIL-3+TPA依存性のロニー形成を抑制し、そのIC_<50>は20〜40μMであった。スタウロスポリンよりも特異的なPKC阻害剤であるカルフオスチンも同様にTPAの作用を抑制した。次年度はIL-11によるIL-3依存性コロニー形成促進作用を上記阻害剤を用いて検討し、さらにヒト芽球コロニー形成細胞に対する作用を抗PKC、抗リン酸化チロシン抗体をも用いて検討する予定である。
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