研究概要 |
我々は先にヒト骨髄細胞からNK細胞を生成する培養系を確立した。この培養系ではNK細胞は骨髄細胞からIL-2の存在のみで生成された。このことより骨髄細胞にはIL-2反応性NK前駆細胞が存在することが考えられた。NK細胞の骨髄幹細胞からの分化機構を明らかにする第1段階としてこのIL-2反応性NK前駆細胞を純化し、その性状を明らかにした(Blood,in press)。すなわち、IL-2反応性NK前駆細胞はIL-2受容体を有していることに着目し、IL-2受容体の発現を検索したところ、α鎖を有する細胞の中にNK前駆細胞が存在することが明らかになった。IL-2反応性NK前駆細胞はヒト骨髄細胞のおよそ3万個の中に1個存在し、表面形質ではCD33-,CD34-,CD25+,CD2-,CD5-,CD11b-,CD16-,CD56-であった。 さらに、血球1元説によればNK細胞もまた骨髄幹細胞から由来することが考えられる。骨髄幹細胞はCD34抗原を有することを利用し、幹細胞からNK細胞を培養する系を確立した。すなわち、FACSにて純化したCD34+細胞を種々のcytokineを添加しNK細胞の生成の有無を検討した。その結果、NK細胞を誘導するためには骨髄間質細胞由来のSCFとIL-2が必要であった。NK細胞の生成はSCFの濃度依存性に増加した。さらにCD34+細胞をCD33+,CD33-とに細分画するとNK細胞はCD33+,CD34+細胞から直接由来することが判明し、NK細胞の起源を考えるうえできわめて興味深いことと思われた(投稿中)。
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