研究概要 |
アルファ2プラスミン・インヒビター(α_2-plasmin inhibitor,α_2PI)遺伝子のプロモーター活性を有する領域に結合する蛋白質について研究することが今回の課題である。レポーターとしてCAT(chloramphenicol acetyl transferase)遺伝子を用いて、リン酸カルシウム法でHepG2細胞にトランスフェクトした。これまでの研究により、5'非翻訳領域をコードするエクソンが2種類存在することが明らかになった。これらのエクソンの上流にプロモーター部位が存在するかについて、5kbの領域について、いくつかの部分に分けてプロモーター活性の有無を検討した。その結果一番上流の、1.2kbのBamHIフラグメントに強いプロモーター活性がみられた。このフラグメントに関して、3'側より欠損ミュータントを作製して転写開始部位を限定することができた。次に5'側より欠損ミュータントを作製して活性を検討したところ、2つの正に働く領域と1つの負に働く領域を同定することができた。これらのフラグメントをCAT遺伝子の下流につないで検討したが、エンハンサーあるいはサイレンサーとしての活性は認められなかった。転写開始部位の上流のフラグメント(-37〜-67)とHepG2細胞の核蛋白質とを用いて、バンドシフトアッセイをおこなったところ、フリーのバンドの他に移動度の遅いバンドがみられた。このフラグメントの塩基配列についてみてみるとアルブミン遺伝子のDE1とC/EBPとの高いホモロジーがみられた。この部位に結合する蛋白質がα_2PI遺伝子の発現制御に重要と考えられる。
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