本研究ではファジィ論理アルゴリズムをプラズマ閉じ込め制御に適用し、その有効性と限界を明らかにし、将来の核融合炉の動特性制御への展望を探ろうとするものである。 環状磁場閉じ込めプラズマのフィードバック制御対象としては、プラズマ電流、プラズマ位置、プラズマ断面形状、プラズマ密度、加熱パワー等があり、将来の核融合炉では、中性子発生量や核融合熱出力が重要なフィードバックの対象である。これまでは古典的なPID(比例・積分・微分)制御が用いられてきたが、装置システムが複雑化するに伴い、より柔軟性のある信頼できる制御概念が求められていた。 筆者は、トカマク・ヘリカルの両方式でのプラズマ制御法の研究を続けており、プラズマモデリングに関する種々の解析コードを発展させてきている。ファジィ制御に関しては、三角形メンバーシップ関数を用いたMax-Min-重心法によるファジィ推論をヘリカルプラズマに適用しプラズマ電流制御を行う解析を進めてきている。 最終年度である平成6年度には、LHD用プラズマ制御開発装置にファジィ制御アルゴリズムを組み入れた。今後、この制御法を核融合実験装置や核融合動力炉に適用し、核融合制御学の体系化に寄与したいと考えている。当初計画では、ファジィ制御のみを研究対象としてきたが、ニューラルネットとの結合や他の新しい考え方(カオス工学、遺伝的アルゴリズム等)との関連も視野に入れて、幅広い知的制御の基礎的検討も平成6年度から開始した。
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