研究概要 |
この研究では,人間の連想機能を調査検討し,それをモデル化し,音声対話システムへ導入した。主な研究の成果は下記のようなものである。 1.前年度作成した連想単語辞書を充実させるための研究を行った。具体的には,不特定の人がゲーム感覚で利用して,連想単語辞書を次第に充実させるシステムを作成した。この結果,今後は連想辞書を恒常的に充実できるようになった。 2.連想情報を利用して後続の単語を予測する方法を考案し,音声対話システムで利用しているが,実験により,その性能評価を行った。その結果,一般に良く使われるなじみのある内容の発声については特に連想情報の利用の効果があることがわかった。 3.連想情報を単語の認識に利用しているが,一般には,音響情報に対し連想情報を約3割の割合で利用するのが適当であることが確かめられた。また,音響的な照合度合いが低い場合に連想情報を強く働かせる方法が効果的であることもわかった。 4.音声対話システムで使用するための声道模擬による音声合成システムを作成した。この方法では,韻律情報の利用が容易にできる。まだ4種類ではあるが,応答音声に感情の入った音声を出力できるようになった。 5.音声対話システム作成のため,人間の対話について調査研究した。その結果,対話中に雑音がある場合には連想,意味等の高次の言語情報の利用が必要なこと,聞き易い応答文は意味的にまとまった適当な長さの文であること等がわかった。 6.連想情報を利用した音声対話システムの例として,甲府市の市役所の窓口案内ができるシステムを試作した。現在研究室内で,実験的に使用しているが,不特定の人に対して,約80%の対話に成功している。
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