研究概要 |
研究実施計画に従い、超並列OSモデルの研究と基本設計,超並列OS開発支援システム,コンパイラシステム,について研究を行った。今年度の主な研究成果を以下に示す。 1.超並列OSモデルの研究と基本設計 超並列OSモデルとしては、マイクロカーネルをベースとして,その上に従来のOS機能を分割しサーバとして構成するモデルを採用した。また,マイクロカーネルには,各サーバ間の通信の場を提供するメッセージプールをベースとし,その他にコンテキストスイッチ,割り込みハンドラを含む構成を採った。このマイクロカーネル・モデルでは,サーバの粒度の決定が重要となる。大きくすると並列性が失われ,小さくとるとサーバ間通信に要するオーバヘッドが大きくなる。現在,MINIXオペレーティングシステムを例にとって,粒度に関する実証的研究を遂行している。 2.超並列OS開発支援システムに関する研究 典型的な大規模並列ソフトウェアである並列OSの仕様記述について検討した。その結果,超並列OSを,データの無限系列であるストリームによって相互に結合されたネットワークとしてモデル化する手法が有効であるとの結論を得た。さらに,本手法を関数型言語であるMirandaに適用し、デバッギング環境等を開発した。 3.コンパイラシステム関する研究 共有メモリ型マルチプロセッサを対象として,メモリアクセス時間の不均一性がある場合に,Doacrossループの最適実行に関する理論的検討を行った。また,OSとコンパイラの協調動作による2レベルスケジューリングにおいて,各種基本方策をシミュレーションによって評価した。
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