我々は視覚障害者からの図書情報問い合わせに対して、点字図書館が即座に適切な応答をできるようにするため、「図書情報に対する問い合わせ応答システム」の開発を行った。そのシステムを構築するにあたって次のような方法を計画し研究を遂行して、その成果を得ることができた。 1.図書情報の問い合わせに対して必要となる図書データベースの構築を行った。ハードディスクに記録した図書データ量は、平成5年度までに受け入れ処理されたすべての図書データであり、図書情報の検索に対しては十分利用できるものとなった。 2.パソコン通信による視覚障害者からの図書情報の問い合わせに応答するため、パソコン通信利用システムを構築した。また、、いろいろな検索条件に対応できるようシステムの機能向上を図った。 3.簡易語を用いた図書情報の問い合わせを理解し、適切に応答するシステムが必要となるが、その基本システムを構築した。日本語文に対して形態素解析、構文解析、意味解析といった自然言語処理システムがその中核となっている。また、「問い合わせ」の概念に基づいた簡易語問い合わせインターフェースが必要であるが、そのシステムに必要な問い合わせ文の解析を行い、簡易文による問い合わせに応答できる基本部分を構築した。 4.パソコン通信による盲人からの図書情報の問い合わせを容易にするため、パソコン上で点字入力が行えるよう点字入力ドライバを開発した。これは他の応用プログラムにも利用できるようになっている。 5.視覚障害者からの点字文による問い合わせに対応できるようにするため、点字原稿の読み取りと認識システム構築に着手した。
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