1。カラー画像から物体の認識をするには、まずカラー画像を一様な色領域に分割する必要がある。この領域分割問題を色彩解析の側面から検討し、アルゴリズムを開発した。一様な色領域を求めるには均等色知覚空間が必要で、CIE-L*a*b*表色系で色分類及び領域分割を行った。色領域の抽出は色空間でクラスタを検出することによって行うことができる。 この原理に基づいて色分類と領域分割のアルゴリズムを開発した。分割法の信頼性は実験的に確認した。積木物体、花、風景、人物のカラー写真を用いた。写真からディジタル画像をドラムスキャナで計測し、CIE-L*a*b*表色系で表色した。この色空間で色分類を行って、原画像を一様な色領域に分割することができた。 2。相互反射現象をモデル化し、拡散相互反射を含む画像を解析した。相互反射現象はシーンの見えを大きく変えることがあるのでしばしば重要となる。ここでは拡散反射表面間の相互反射をカラー反射モデルを用いて解析した。 まず2つの凸物体表面からの反射光は共通の相互反射成分と固有の拡散反射成分からなる2色性反射モデルで記述できた。解析は厳密なスペクトル解析と実用的な画像解析に分けて検討とした。2表面から計測した反射光のスペクトル分布から、共通相互反射成分と固有拡散反射成分のスペクトル分布を推定する方法を開発した。これらから表面の分光反射率と照明光の分光電力分布が求まる。画像解析に同様な解析法を3次元色空間に適用し、色紙を用いる実験で解析法の妥当性を調べた。
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