研究概要 |
本年度は主に精密カラーRDS用眼球運動計測システムのハードウェア及びソフトウェア構築を行った.また,立体視可能限界の白黒RDSを用いて簡単な立体知覚実験を試み,カラーRDSに対する結果予測を行った. 1.赤外線TV眼底カメラ内の液晶カラーTV(モニター)を小型CRTカラーTVに置換えるための改造を行った. 液晶カラーTVは,まだ小型で高分解能のものがなく,また各RGB単独で精密な明度コントロールができないため,今回は自動車用小型カラーTVを改造して,RGB信号を取出し使用することにした. 2.精密カラーRDS発生用ソフトの開発. 高速PC9801パソコンと画像処理装置EXCEL-IIを用いて複数の視差を持つ白黒及びカラーRDSの試作を行った.また,視差の境界がめだたない滑らかな傾斜RDSも合わせて作成した.呈示方法に関しては,静止画,動画(アニメーション的)呈示が可能である. 3.左右眼にRDS部と背景部で異なる色彩で呈示ができ,また,明度調整が自在に行える「カラーRDS呈示装置」の試作を行った. 4.画像処理による高速眼球運動計測システムの構築. 赤外線TV眼底カメラからのVTR画像のコマ送り読み出しに,フレームメモリ付きVTRを利用することで、スムーズにEXCEL-II内に眼底画像を取込むことができた.そしてEXCEL-IIとEWS制御のもとでの高速眼球運動計測ソフトの開発を行った.その際,高速画像マッチング装置の開発を知り,現在,その装置を含めたソフト開発を遂行している. 5.2.で作成した白黒RDSを用いての予備実験を行った.一例を紹介する.複数の視差を持つ階段状のRDSに関して,固定点の位置が階段の下にある場合と中央とでは,中央に設定した場合の方が立体知覚が難しく,知覚時間が長くなるなど,多数の興味ある結果が得られた.
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