高圧下で、パラキシレン/メタキシレン系の溶液からのパラキシレンの核生成を目視観察し、界面自由エネルギーが圧力増加(およびパラキシレン濃度減少)により、増加し、温度増加により、減少することを見い出した。界面自由エネルギーの組成依存性はこの系では無視できると考えられる。 高圧下の体積測定装置を開発し、パラキシレンの相共存線のデータ、相転移に伴う体積変化、固相と液相の体積変化の圧力、温度依存性を測定し、溶解のエントロピー、溶解のエネルギーの温度・圧力依存性を導出した。これらは、共に圧力、温度の増加により増加した。 一分子当たりの界面自由エネルギーは温度が増加すると減少し、一分子当たりの溶解のエネルギーは逆に増加する。従って、圧力をパラメータに含めると、界面自由エネルギーと溶解のエネルギーとの比例関係は成立しないことが分かった。試みに溶解エントロピーの定数倍から界面エントロピーに温度を乗じた項を差し引いたものが界面自由エネルギーとして、解析すると、エントロピーは圧力増加に対して減少し、一つの可能なモデルとなることが示された。すなわち、界面自由エネルギーの圧力依存性は、一部は、ブレッキングボンドエネルギーの加圧による増加に起因し、界面過剰エントロビ-の圧力による減少も寄与しているとの描像が得られた。界面過剰エントロピーの加圧による滅少は加圧により界面における分子配列の秩序化が進行するためと考えられる。
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