Arthromyces ramosus 由来のペルオキシダーゼの立体構造を明らかにするため、そのX線解析を行なってきた。平成4年度の研究成果は以下の通りである。 1。既に本ペルオキシダーゼの結晶化に成功し、ネイティブ結晶の1.9A^^・分解能までの回折強度は測定済みである。結晶構造を同型置換法で決定するため、本結晶を重原子試薬を含む溶液中に浸析し、4軸型回折計で評価した。これまでに3種類(白金、ヨウ素、水銀)の同型置換結晶を得た。これらの誘導体結晶の少なくとも2.5A^^・分解能まで回折強度を、シンクロトロン放射光と巨大分子用ワイセンベルグカメラを用いて測定した。 2。各誘導体結晶中の重原子位置のパターソン関数および差のフーリエ合成で決定した。重原子パラメータを最小二乗法で精密化した結果、2.5A^^・分解能までの反射に対し平均のfigure of merit 0.66を得た。 3。ヘム鉄の位置および絶対構造をX線異常散乱法で決定した。 4。最良電子密度にはヘムの配向およびヘムをはさむ2本のα-ヘリックスが明瞭にあらわれた。既に立体構造が決定されているチトクロムcペルオキシダーゼの2次構造が、本ペルオキシダーゼでも基本的に保存されていることが明らかになった。本ペルオキシダーゼのモデルをグラフィクス FRODO を用いて構築し、XPLORで構造の精密化を進めている。
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