ストレスに関連した個々の生化学的反応にビタミンCが必要であると報告されているが、様々なストレスに対して食物あるいは栄養補給剤として摂取したビタミンCが果たす役割については、十分に明らかにされていない。本研究では、個々のストレスに応じたビタミンC摂取適正量についての科学的な根拠を得ることを目的として、環境ストレス緩和におけるビタミンCの効果について検討を行った。実験動物としてヒトと同様にビタミンCを生合成できないモルモットを用い、環境ストレス条件は2種類設定した。 1)日照変動におけるビタミンCの効果:日照時間の延長や縮小および光量の増減について適応行動を観察した。この予備実験の結果を基に、暗環境として24時間の暗闇あるいは明環境として24時間、300ルクスの光源に曝露する条件において、正常飼育およびビタミンC欠乏モルモットをそれぞれ数日間ずつ飼育し、体重増加および摂食量、自発的運動量、直腸温の変化を調べた。この結果、強度の高い光量に対して直腸温度の変化がみられたが、ビタミンC投与の効果は顕著ではなかった。 2)拘束ストレスにおけるビタミンCの効果:金網による拘束ストレス負荷時の影響をヒスタミンとの関連下で検討した。柔らかい金網にモルモットを包み、1時間拘束を行い、直後、1時間後、2時間後に解剖した。この結果、拘束ストレスにより血液中のヒスタミンレベルの上昇がみられたのに対し、ビタミンC投与により血液中のヒスタミンレベルは一定に維持された。このことから、拘束ストレスにおいてビタミンC投与は恒常性の維持に影響を及ぼすことが示唆された。
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