研究概要 |
本研究では,高機能性を付与したパンティストッキング(PS)の開発は今後どのようにあるべきかを検討することを目的として,健康で快適なPSのための以下のような設計指針を得ることができた。 1)高機能性を付与したとされる市販PSならびに試作段階にあるPSを収集して,それらの熱・水分・空気の移動特性を測定する一方,市販の無加工PSと比較してどの程度性能が向上しているかを明らかにした。 2)前項の研究成果を基に,望ましい特性をもつと思われる高機能性PSを数点抽出して,人体着用実験を行った。その結果,夏用PSにおいても冬用PSにおいても,後加工よりも繊維そのものの改質,特に水分率を大きくする加工が有用であることがわかった。 3)サポートPSが下肢部シルエットとむくみに与える影響を検討した。その結果,サポート力の大きいものほど大腿部での寸法が減少するが,下腿最小部分での寸法が逆に増加すること,また,長時間立位作業者のむくみに対しては,圧の強いものほど効果があることなどがわかった。 4)下肢部の局所的な圧迫が,皮膚血流量に及ぼす影響について検討を行い,サポートPSの下肢各部でのサポート力の程度を明らかにすることができた。 5)PS表面と皮膚表面との真実接触面の形態を捉え,接触点の総数や分布,真実接触面積,真実接触圧がPSのタイプにより大きく異なることが明らかとなった。 6)PSの肌触りおよびすべりについて,そのの主観評価とPSがもつべき力学的特性の範囲を明らかにした。 以上の成果により,本研究課題の目標は充分に達成しえたと考えられる。
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