研究概要 |
本年度(平成6年度)に行った分析は,平成4〜5年度の分析結果を踏まえた,補足的な性質のものである。既存の統計資料その他の調査結果を利用して行った分析の結果- 1)消費構造,就業構造という側面からみた高齢者のライフスタイルについては,(1)家族形態,有業者の有無,主要な収入源の種類などの世帯属性の違いにより,高齢者の消費生活には,支出配分のパターンや1人あたりの消費水準において,差異がみられる。とりわけ,同じく高齢者世帯といっても,有業者の有無による1人あたりの消費水準の格差は大きい。また,世帯属性間での,1人あたり消費水準の格差にも関わらず,支出の内容構成を見ると,交際費が高いウエイトを占めている点で共通性がみられる。(2)高齢者の間に就業への高い意欲がみられ,また,中・高年者の雇用労働力化が進みつつあるが,その就労形態は多様である。また,2)家計の貯蓄行動あるいは金融資産選択については,(3)世帯主が同じ年齢層であっても,親世代と同居しているか否か(従って,家計を共にしているかどうか)によって,1世帯あたりの貯蓄(金融ストック)の保有額に大きな差がある。また,その差は,子の世代にあたる世帯主の年齢が若いほど大きい。(4)家計をめぐる金融環境の変化,例えば小口のMMC導入による金融商品選択の幅の広がりなどによって,家計が保有する金融ストックの内容構成に変化がみられる。(5)バブルの前後では,金融資産選択の動機や金融ストックの内容構成に変化がみられる。-などの諸点が明らかとなった。 平成4〜5年度の分析結果と,平成6年度における捕足的検討の結果とを合わせて,印刷物の作成中である。
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