研究課題/領域番号 |
04680094
|
研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
河野 節子 名古屋女子大学, 家政学部, 教授 (40024640)
|
研究分担者 |
末田 香里 名古屋女子大学, 家政学部, 助教授 (60068278)
|
キーワード | ラット尾部懸垂 / アルカリフォスファターゼ / 酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ / 尿中コルチコステロン / カテコールアミン / 抗利尿ホルモン / 廃用萎縮 / ストレスホルモン |
研究概要 |
目的 近年、寝たきり老人の増加が社会的問題となりつつあり、長期臥床によって引き起こされる廃用萎縮の疾患機序及びその対策が迫られている。本研究では、ラット尾部懸垂によって引き起こされる後肢筋の廃用萎縮をモデルとし、その筋、骨の萎縮の程度をアルカリフォスファターゼ(ALP)、酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ(TR-ACP)の酵素活性を測定すると共に、骨中のCa、Pi量を測定し検討を加えた。また萎縮を憎悪させる異化タン白ホルモンが、懸垂により増加するか否かを他のストレス関連ホルモンと併せて測定したので報告する。 方法 ウィスター系雄ラットを代謝ケージで予備飼育後、5週齢時に懸垂を開始し一週間後屠殺解剖し、各種の臓器重量を測定した。大腿骨を用いて灰化重量、Ca、Pi量並びにALPとTR-ACPを測定した。懸垂期間中の摂餌量、摂水量を測定し、毎日尿を採取した。尿中のコルチコステロン及び坑利尿ホルモン(ADH)をRIA法で、カテコールアミンを蛍光法により測定した。 結果 尾部懸垂期間中の非懸垂群(C群)の体重増加は、懸垂群(S群)より増加が認められ、両群間に著しい差を認めた。副腎重量はS群で高く、睾丸及び胸腺重量は逆に低く、しかも各々の体重比でも同様であった。大腿骨重量はS群で低く、またCa、Piの含量もS群で共に低値であった。さらに骨生成の指標のALPはS群で低く、骨吸収の指標のTR-ACPはS群で僅かに上昇した。懸垂開始初日にS群で摂餌量、摂水量の有意な減少が認められその後徐々に回復傾向を示した。尿量は懸垂期間中、C群に比し有意差は認められなかった。コルチコステロンの尿中排泄量はS群では懸垂開始後3日迄有意に増加し、その後低下したが懸垂終了時でもC群より高値を示した。尿中カテコールアミンは懸垂後3日間有意に増加、その後減少した。ADHは懸垂開始後2日より持続的な尿中への排泄増加が認められた。 結論 ラットの尾部懸垂は、筋・骨の廃用萎縮をもたらし、これらの萎縮にストレスホルモンの増加を介する内分泌系の関与が示唆された。
|