高齢軽度障害者に焦点をあて、少しでも快適な衣生活を送るには、どんな衣服が望ましいかを探ることを目的に、研究を行っている。 前報に引き続き、特別養護老人ホームや老人ホームを訪問して、夏の着用衣服の実態を調査した。内衣にシャツ、外衣にパジャマの着用者が一番多い。着替えは昼夜では行わず、入浴時に行われている。着替えることが生きがいに関連あると考えるが、寮母の労働力とも関連して問題がある。そのため高齢者の自立が必要である。 前報の調査から好まれる上衣前開きで、一定の形の衣服を製作し、前開きの留め方、布を変えて着用実験を行った。留め方は、マジックテープ、スナップ、ボタンの大きさ1cm、2cm、3cm、リボンの6種類である。布は、綿ジャージー、綿揚柳、サッカーの3種類である。留め方と布の種類を組み合わせて、7人に着用させ、着用時間と着用の状態を着用者と寮母側から観察した。留め方のマジックテープについてみると、1つ留めるのに必要な時間は、早い人は1秒、遅い人は60秒かかる。材質別では、厚地の綿ジャージーが短時間でよい。スナップは最低が1秒、最高が130秒である。材質の差は、あまりない。ボタン1cmは最低3秒、最高300秒である。ボタン2cmの場合は、最低2秒、最高30秒である。リボンで結ぶ場合は、最低2秒、最高90秒である。結びにくい、洗濯でよじれる、時間がかかる、上が留めにくい等、不評である。個人別についてみると、7人を通して、短時間に留まるのは、マジックテープであるが、慣れないせいか、不評である。また、ボタン留めの場合、ボタンの大きさは2cmがよい、3cmは留めにくい、1cmは小さすぎると回答している。今までの生活習慣が大きく影響している。 尚以上の結果は、平成6年5月20日、日本家政学会に於いて発表する。
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