高齢軽度障害者に焦点をあて、少しでも快適な衣生活を送るには、どんな衣服が望ましいかを探ることを目的として、研究を行った。 特別養護老人ホームや老人ホームの入所者の着用したい色の嗜好は、男性はグレー系、茶系、緑系の順で、女性は紫系、グレー系、茶系、青系の順である。 市販品の老人用介護衣服13着を購入し、岐阜市立女子短大の学生に1着につきI週間就寝時に着用して、10項目の設問に回答してもらった。機能性を重視してデザイン性が劣っている。下衣の巻きスカート型ははだけやすいため、保温性を重視すると、パンツ型やつなぎ型が適している。ファスナ-の使用については、金属やプラスチック製であるため、硬く、肌にこすれたり、痛みを感じたり、ひんやりして不快感がある。またディテ-ル部に用いられている紐は解けやすく面倒であるという意見が多数あった。市販パジャマと同形態でも介護衣服販売店で購入すると高価格であることも問題である。 今迄調査した結果から老人介護衣服を試作した。デザインの意図は、(1)老人介護衣服らしくないこと。(2)キルティングを使用する。(保温性が高く、軽い。老人の好む巻きスカートにするため、キルティングの厚みで捲くれにくくする)(3)裏地にガ-ゼを使用する。(素材が合繊であるため吸湿性を補う)(4)マジックテープを使用する。(留めやすい)(5)老人は和服を好むため和服型を尊重する。 試作の老人介護衣服を特別養護老人ホームの寮母に意見を聞いた。その結果、切替え線をつけてデザイン性を考慮したが、切替え線の縫い目は肌にあたり好ましくない。袖丈を調節できる発想はよいが、老人には面倒で無理。防寒のためスタンドカラーにしたことはよい。1人1人のきめ細かい衣服設計が必要であるが、今後の大きな課題である。
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