研究概要 |
1最適冷凍条件、解凍条件の検討 生および100℃3分ブランチングしたニンジン(15mmφ×11mm,2g)を用いて冷凍速度、解凍法がテクスチャーと組織に及ぼす影響を調べた。生を冷凍したときの硬さはプログラムフリーザー(PF)でLN_2により-30℃まで-5℃/分冷凍>PF-2℃/分>-80℃冷凍庫(F)>-30℃F>-20℃Fの順に大で、冷凍速度が急速なほど硬く、歪率は小であった。解凍方法別では-3℃静電気解凍機≧-3℃恒温器>5℃冷蔵庫>自然解凍(20℃)>煮沸解凍(100℃)の順に硬さを維持していた。ブランチング試料については生ほどの差は認められないが同様の傾向がみられた。組織学的観察では、解凍法より冷凍速度の影響が大で、LN_2浸漬>PF-5℃/分>PF-2℃/分>-80℃F>-30℃F>-20℃Fの順に良好で、PF-5℃/分冷凍し低温で解凍したものが良く、Fでの冷凍は組織の損傷が大きかった。 2冷凍野菜のテクスチャー改善へのペクチンメチルエステラーゼ(PME)、酸、塩類の利用 ニンジンを60℃2時間予加熱すると、PMEの作用により低エステル化度のペクチンが増加した。冷凍後煮沸解凍するとβ脱離が起こりにくいためペクチンの溶出が抑制され、ある程度硬さを保っていた。長時間予加熱は味の点で問題がある。70℃5分、60℃予加熱処理は軟化防止に効果があった。2%食酢、0.05M塩化カルシウム、0.5%みょうばんで100℃3分ブランチング後FP-5℃/分冷凍し、自然解凍すると、いずれも沸騰水ブランチングより軟化防止効果があった。煮沸解凍では、食酢、塩化カルシウム処理したものに効果がみられた。 3凍結防御物質による耐凍性向上についての検討 20%スクロース、グルコース、ソルビトールでブランチングするとわずかであるが軟化防止効果があった。
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