冷凍野菜のテクスチャー改善を目的とし、水分含量が多く冷凍耐性の悪い白菜を用い以下の検討を行った。 1 最適冷凍条件(冷凍速度、最終凍結温度)の検討 生および100℃1分ブランチングした葉柄部、葉部をプログラムフリーザー(PF)でLN_2により冷凍速度毎分-5℃、-2℃で-20℃まで冷凍、または-35℃、-20℃冷凍庫(F)で冷凍後自然、煮沸解凍した。解凍後の硬さは、PF-5℃/分>PF-2℃/分>-35℃F>-20℃Fの順に大で、冷凍速度が急速なほど硬さを維持し、ドリップ量およびペクチン質の溶出量が少なかった。ブランチング葉柄部を煮沸解凍したもの、および葉部のペクチン質は冷凍速度による差がみられなかった。生を自然解凍するとペクチン質のエステル化度の減少がみられた。光顕、電顕による組織観察では、白菜の細胞は大きく細胞壁が薄い。生は液胞による膨圧で歯切れがよいが、F、PFいずれの冷凍法でも組織の損傷が起こり、膨圧の減少、脱水等によりテクスチャーが悪化した。 2 白菜のテクスチャー改善への予加熱(ペクチンメチルエステラーゼ)の利用 白菜を60℃30分予加熱後PFで冷凍し自然解凍すると、ある程度テクスチャー維持効果があった。煮沸解凍すると効果は減少した。FよりPF冷凍のほうがテクスチャー、組織の点で良好であった。葉部は色の点で問題があった。 3 凍結防御物質による耐凍性向上についての検討 10%、20%のスクロース、グルコース、ソルビトール溶液中でブランチングするとわずかであるが軟化防止効果があった。糖液処理物のほうが水煮したものより氷結点が低く、最大氷結晶生成帯を早く通過し、組織中へのペクチン質の残存量も多かった。10%ソルビトール処理しても冷凍後は組織の損傷がみられた。
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