本研究の今年度の目的はMRI装置により得られた全身の連続横断面像から皮下脂肪の分布状態を定量化する方法(MRI法)の妥当性を検討することであった。 健康な5名の被験者を対象にMRI法による全身の横断面像の撮影、および直接法により身長、体重、水中体重および体肢容積などの測定を行った。MRI装置を用いて皮下脂肪、筋、内蔵及び骨などの組織が識別できるような条件にて全身の横断面像を2cm間隔で撮影した。全身の連続横断面像はフィルムあるいは磁気テープに記録したのち画像処理装置を利用して皮下脂肪、筋、骨及び内蔵などの組織別の横断面積を求めるために利用された。部位別に組織別の横断面積とスライス間隔から求めた容積と組織の密度を乗じて重量を求めた。MRI法および直接法による計測値を比較することでMRI法の妥当性を検討した。 現在横断面積の分析が終了した3名の被験者について平均値で比較すると体重ではMRI法が49.2kg、直接法では49.0kg、容積では46.81と47.11であり、両測定法間に顕著な差は見られなかった。これはMRI法による定量分析が可能であることを示す結果であった。全身の皮下脂肪量は平均11.6kgであった。また、部位別に皮下脂肪の分布状態をみると、全皮下脂肪量に対する比率でみると胴体部が33%でもっとも多く、次いで大腿部が32%、下腿部が11%であり、体幹部と大腿部に皮下脂肪の多くが集中していることがわかった。 なお、この研究成果は93年の体力医学会で報告する計画である。
|