研究課題/領域番号 |
04680119
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
川口 智久 一橋大学, 社会学部, 教授 (80017615)
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研究分担者 |
高津 勝 一橋大学, 法学部, 教授 (30034838)
藤田 和也 一橋大学, 社会学部, 教授 (80017673)
早川 武彦 一橋大学, 商学部, 教授 (90114959)
唐木 国彦 一橋大学, 商学部, 教授 (90017484)
関 春南 一橋大学, 経済学部, 教授 (30017537)
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キーワード | 生涯スポーツ / クラブ制度 / 商業スポーツ施設 / ドイツスポーツ連盟 / リゾート地区 / スポーツコンプレックス / 労働時間短縮 / 生活時間構造 |
研究概要 |
平成5年度は、各国の生涯スポーツの現状分析に必要な指標を設定し、それにもとづいて資料、文献収集を行うことが主要な課題であった。その結果、とくにドイツ、フランスについて新しい資料の収集および研究が進み、データベースに情報を入力することができた。ドイツについては、かねてよりクラブ制度を基盤にした大衆スポーツの発展が特徴とされていたが、1)近年の商業スポーツ施設の増加により、既存クラブとのあいだで競合が起こり、会員の争奪、経営上の対抗状態が生じていることが認められた。ドイツスポーツ連盟当局は、当初スポーツ種目による両者の「棲み分け」が可能であるとしていたが、特定のスポーツ種目では明らかに利害関係が拮抗している。また、2)旧東ドイツ地区の経済格差が大きく、特定の競技スポーツ選手をのぞき、日常的にスポーツ活動ができる条件にある住民が限定されることが判明した。行政機構、スポーツ組織の整備においても同地区の遅れは顕著であり、競技スポーツ優先の歪みが残されている。フランスについては、1)南フランスの地中海沿岸におけるリゾート地区が新たな商業スポーツの拠点となり、大規模な設備投資が行われようとしている。こうした動向の背景として、不況による失業者の増大、公共投資、労働時間短縮などの諸要因があることが推定された。2)大都市近郊において森林などの自然と人工的施設を組み合わせた複合的なスポーツコンプレックスが計画されている。それは、ヴァカンスなどの長期休暇向けではなく、日帰り型のレジャー、レクリエーション施設であり、生活時間構造の変化が生涯スポーツのあり方にも反映していることが考察された。研究はこれら2国について進行が突出しているが、その他の国、地域の分析においても、とくにスポーツ組織、行政、商業資本との3者の関係に注目しながら実態分析をする必要があることが確認された。
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